お米づくりのレジェンドたち

「米comeかほく」の皆さん

 河北町は、田んぼの水路の水がとても澄んでいます。それは百名山の一つである霊峰月山からの雪解け水を一番に田んぼに取り入れられるから。「用水」は寒河江川の清流を、「排水」は最上川へと、田んぼの「用・排水」が完全に分離されていることは、稲作において全国でも珍しい大きなアドバンテージなのです。(詳しくはかほくのもの『お米とお酒』をご参照ください)
 河北町の南部、ちょうど最上川と寒河江川の交わる部分に位置する溝辺地区。そこには、長年お米づくりに勤しんできた「レジェンド」が何人も存在します。その一人である、江目(ごうのめ)一広さん。河北町生まれ、河北町育ち。農家のご出身で、これまでずっと町内にお住まい、土地のことを熟知した就農者たちの頼れる存在。江目さんの手がけるお米はもちろん、山形県のオリジナル品種「おとめごころ」などは練乳のような甘さがあると評判、その品質の高さからファンが絶えません。そんな江目さんと、若い頃から半世紀近く(!)のご友人という山崎さん。お二人を中心に、町の商工会と連携して立ち上げた「米comeかほく協同組合」では、米の生産、各農家からの集荷、精米、消費者への発送などを一貫して行い、就農者をサポートする研究会など定期的に行っています。

 お二人とも御歳七十手前。立ち上げの背景には、これからの河北町の米作りに危惧があったと言います。農家が高齢化し、田んぼが減って、耕作放棄地が増えていく状況をなんとかしたい。そのために、就農したい若い人たちの収入を保証できるようなサポート体制を整えていきたい。「米comeかほく」では、定期的に田んぼを見回り、稲作研究を行っています。根づくりをよくすることが稲作の基本。田んぼの土壌を改良し、出穂前の生育状況をマメに観察し、ミネラルを豊富に含む肥料を施して、品質の粒揃いと旨味を引き出すー。「最近の人はほとんど田んぼを見ないから」と江目さん。田んぼの様子をじっくり見て、水加減を調整したり、追肥のタイミングを測ったり、手をかければかけるだけ、おいしいお米が育つと言います。最近はドローンを使って肥料を撒くなど、効率的に作業ができる工夫も。一連の活動の前身となっているのは、三十年ほどの歴史を持つ河北町「稲作研究会」。現在在籍している農家は四名、組合員は十二名。稲作の機械はみんなで一緒に使い、定期的に集まって、困っている就農者を助け、農業を続けていけるような仕組みを作りたい。「河北町へカム!come!」そんな熱い想いが響いてか、最近では河北町に農業を学びたいと移住する若者も増えています。

 全国的に有名な山形の米品種「はえぬき」を、さらに粒揃いを整えて厳選し精米した、「米comeかほく」独自のブランド米「いいなこっす」。清流をたっぷり吸って生まれた甘みと、さっぱりとした食味が特徴。この不思議な名前の由来は、ギリシャ神話の「イーナコス」という川の神様を、山形弁の河北訛りにもじったもの。ロゴマークの緑色の部分は農産物、水色は最上川と寒河江川の清流を表わし、斜めの三本線はそれぞれの川の流れ、五つの丸は農産物の実りを表現しています。中央には、「溝辺(みぞのべ)」の「M」の形も隠れ、農家の思いが形になったロゴデザイン。
 おいしいお米の条件は?と聞くと、「米が硬くて、粒が揃っていること」なんだそう。栄養が一粒一粒に均一に行き渡り、精米で潰れたり割れたりしないと、炊き上がりも均一で粒の立ったおいしいご飯になるそう。また、それぞれの品種によって、食味、大きさ、硬さの違いを楽しめるのも、日本人ならではかもしれません。例えば「つや姫」は柔らかさ、甘味が強くそのまま食べるのがおすすめだそうですが、「雪若丸」は粒が大きくパラパラとさっぱりしているので、カレーやチャーハンにも合います。奥深いお米の話題は尽きません。
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