イタリア野菜

イタリア料理店のなかった町が名産地へ

 十年前はイタリア料理店が一軒もなかった河北町は、今や国内有数のイタリア野菜の名産地。「かほくイタリア野菜研究会」を中心に生産者が互いに連携し、町ぐるみで栽培に取り組んでいます。現在は都内を含め二百店舗ほどに年間約六十品目を卸すほど。すごいのは、生産量だけではありません。有名料理店を唸らせるほどの品質で、あるべき「辛味」や「風味」といったイタリア料理に欠かせないイタリア野菜本来の味が生き生きとし、本場イタリア産にも引けを取らないと好評。今や、有名シェフとコラボしたイベントなども盛んに行われている河北町。なぜイタリア野菜産地としてここまで盛り上がりを見せているのでしょう?

産地がないなら作ってしまおう
 きっかけは、新鮮な国産のイタリア野菜を求めて、町内出身のシェフが台所で自家栽培していたこと。河北町と似たイタリアの寒冷な地域が原産地であるイタリア野菜を、町の冬の産業にできないか。シェフの小さな試みが町を盛り上げたいと熱い想いを持つ何人かの目に留まり、いつしか町ぐるみのプロジェクトへと発展したのです。それが「かほくイタリア野菜研究会(通称「イタ研」)」の始まり。現在は十六人の自称「イタリア野菜オタク」のメンバーと十二軒の農家で運営されています。

 しかし、発足当時は町内にイタリア野菜の栽培方法を知る人間は皆無!Youtubeや農学雑誌を読み漁っては試行錯誤の連続でした。炬燵で発芽させ、収穫までこぎつけたはいいものの、喜びも束の間、一体どこを食べたらおいしいのか分からなかったという笑い話も。藁をもつかむ思いで有名シェフや料理研究家にコンタクトをとると、皆関心を寄せてくれ、多くの人が河北町を訪れるようになり、知識の輪が広がっていきました。あるイタリア料理研究家の方から「あなたたちのような生産者を待っていた」と言われ感激した「イタ研」メンバーたち。また、作るからには、イタリア料理やその背後にある文化を知らなくてはと気づかされ、それからは生産者と共に東京のイタリア料理店にも足繁く通っては勉強の日々。地道な努力を重ね、レストラン一軒また一軒と、徐々に販路を拡大していきました。

かほくらしい味わいのイタリア野菜を】
 四年前、「イタ研」メンバーは念願のイタリア視察を実現。本場を見て、河北町ならではのイタリア野菜づくりというものもより意識するようになりました。イタリア野菜の原産地トレヴィーゾ地方は、秋口のどんよりとした空がずっと続くような気候。

河北町の方が寒さはずっと厳しく、何度も失敗を重ねるうち、実はその寒暖差に耐え、天然の冷蔵庫となる雪下で冬を越す野菜は糖度がぐっと増すことに気づいたのです。原産地と異なる気候が、独自のおいしさにつながるヒントとなり、「かほくイタリア野菜」ブランドができあがっていきました。今や、都内有名シェフからも、「河北町産はきめ細かく甘みがある」と高評価!

ほとんどが生のまま味わえる】
 サラダでおいしい「チコリ」や、オリーブオイルをかけてトースターで焼くのがおすすめの「ケール」、生のままでシャキシャキとした歯触りを楽しみたい「プンタレッラ」、「イタ研」ホームページには、おすすめの食べ方レシピが盛りだくさん。あまり見かけない形や色彩のものもありますが、イタリア野菜のいいところは、ほぼ全て生で食べられるという手軽さ。かほくらし一階でもレシピと一緒にご紹介していますので、ぜひ気軽に味わっていただきたい河北町の味。辛味の強いものもありますが、お子さんでも食べやすい味わいのものもたくさんあります。「イタ研」ホームページのレシピ集は、シェフ監修のものも!日々の食卓を彩ること間違いなし!ぜひご覧ください。※「かほくイタリア野菜研究会」のHPはこちら