【地元での圧倒的人気を誇るご当地グルメ】
コクのある親鶏の醤油ベースの冷たいお出汁に、強いコシがありキリリと締まった田舎蕎麦が特徴の、山形県民のソウルフード「冷たい肉そば」。Bー1グランプリで入賞してから全国で知名度を上げ、現在では関東でも店舗がちらほら。その発祥地は、なんと河北町なのです。実はこの「冷たい肉そば」の誕生は、九十年ほど前まで遡ると言われます。そんな歴史のあるご当地グルメ、「冷たい肉そば」はどうやって生まれたのでしょうか。
昔、居酒屋のない時代、外で飲むと言えば蕎麦屋で飲むのが主流。馬肉の煮物をつまみに一杯やっていたお客が、その残り汁をしめで注文したもりそばにかけて食べたところ、おいしかったということで、それがメニューになったのが始まりだそうです。昔は農耕用としてどこの家庭でも馬を飼っていたもの。仕事を終えた馬を潰していただくことが一般的でした。馬肉が現在の「冷たい肉そば」にのっている「親鳥チャーシュー」にとって替わったのは、昭和二十年前後以降のこと。河北町に鶏舎ができたことで、その親鳥を安く仕入れてお出汁を親鳥でとり、チャーシューとしてお蕎麦といただくのが主流になりました。
親鳥チャーシューといい、極太の麺といい、「しなこい(=噛み応えのあるするめのような食感)」のが特徴。「冷たい肉そば」を初めて食べた方はその硬さに驚くかもしれませんが、一杯食べ終わる頃には、噛むほどに深みを増す味わいにやみつきになっていることでしょう!
【あなたはどこ派⁉︎ 肉そば食べ比べ】
河北町は、東西八キロほど、自転車なら半日もあれば一周できるほどの小さな町ですが町内には数十軒の肉そば屋が軒を連ねます。そして、どこもとても繁盛しているのです。最近では県外ナンバーの車も多くみられるほど。地元の方に伺うと、私は〇〇派とみんな「オシ」の一軒があるよう。麺が硬めが良ければどこ、天ぷら、げそ天がおいしいのはどこ、お餅セットはどこなど・・・。そして、合わせて食べたい「ソースカツ丼」も谷地の名物。カレー風味の食欲をそそるソースと、肉そばの親鳥出汁はなぜだか交互に食べたくなる組み合わせ。
【冬のそば屋の丼にも湯気が立たない⁉︎】
肉そばは通年いつでも、温かいものも提供可能なところがほとんどですが、河北町民は「冬でもつったいの(=冷たいの)」が主流だとか。食べ比べると、麺のコシや親鳥の食感の違いが感じられます。スープは冷たく感じられるものの、実は常温なので、暖かい店内に入ると冬でも自然と「つったいの」がそそられます。もし河北町にいらっしゃったら、真冬の「つったい肉そば」をぜひ体験してください!夏の熱いラーメンがやめられないのと同じく、きっとあなたもその不思議な魅力に気づくはず。
かほくらし二階「かほくを旅するレストラン」でご提供中の「冷たい肉そば」は、地元の老舗そば屋連盟「谷地の肉そば会」の秘伝のタレをベースにした、関東では他で食べられない元祖河北町肉そばの味。一階「かほくを旅するお店」で販売中の「かほく冷たい肉そば(お持ち帰りセット)」は、「かほく冷たい肉そば研究会」の皆さんが地元の名店に足繁く通って試作を繰り返し作り上げた商品。どちらも河北町民お墨付きのお味です。